2005年6月23日(木)16:08

ブレア英首相はEUを危機から救う意向を表明

ブリュッセル(AP)

次期EU議長を務めるイギリスのトニー・ブレア首相は、EUの支出を抜本的に改めることによりEUを危機から救う意向を表明した。「どんな危機にも好機が含まれている」とブレア首相は木曜日ブリュッセルの欧州議会で演説し、EUはとりわけ「政治的指導部の危機」に陥っていると付け加えた。EUは社会的特徴を失うことなく競争力を高める必要があると首相は述べ、EUを自由貿易圏に後退させようとしているとの批判を退けた。

この点こそ、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相が警告した点であった。シュレーダー首相は『ビルト』紙Bild への寄稿で、EUは単一市場以上に留まらず、共同の価値、権利、義務に基づく成功した社会的モデルなのである、と主張した。この社会モデルを我意や大衆迎合主義から破壊しようとする者は、将来の世代の希望や権利に対して罪を犯すことになる。EUは今、自由貿易圏を選ぶのか、それとも積極的に政治的に働きかけ、政治的に構成された連合体を選ぶのかという岐路に立っている。「私は後者を支持する」、と首相は語った。

ブレア首相は、「今こそ決定する時が来た」。EUが行動しなければ「失敗というリスクを冒す。それも戦略的に大きな規模の失敗である」、と強調した。EUはグローバル化の課題に対応する準備が整っていない。EUでは2000万人が失業している一方、インドはEUよりもハイテク大学卒業生を多く送り出しており、中国は研究予算を3倍にしたばかりである。また世界の大学のトップ20にはEUから2つの大学しか入っていない、とブレア首相は訴えた。

「予算問題もこの文脈で考えねばならない」。EUが2013年まで毎年予算の40パーセントを農業に支出することはあってはならないのだ。私は共通農業政策を一夜のうちに廃止するよう主張したことなどは一度もない。しかし予算を組み換えるという展望は必要なのだ、とブレア首相は述べた。

しかしこれはEUの社会モデルを放棄することではない、とブレア首相は強調した。「人々を保護する最良の方法は、彼らの能力や教育に投資することである」。EU憲法に対する反対はEUへの不満を表したものだ。これに対し政治は応える必要がある。「私たちはこうした議論が不要だなどと自らを欺くことは許されない」、と首相は語った。

あわせてブレア首相はさらなる国々のEU加盟を支持した。「私たちは拡大を危険と見なしてはならない」。「拡大をストップすれば、長期的には一つの職場として安泰ではなくなる。」

ブレア首相の演説は長い拍手で欧州議員から迎えられた。欧州議会の各党派の代表はブレア首相に対し次期6ヶ月の支持を約束した。「しかし私たちは、あくまでもEUの将来に関する議論が扉を閉ざして行われないよう求める」、と欧州国民党(EVP)のハンスゲルト・ペッテリング議員団長は述べた。あわせてペッテリング議員団長はEUの境界に関する議論も行うよう勧告した。

欧州社会民主党(SPE)のマルティーン・シュルツ議員団長は、「改革の時代と転換の時代」が来た。しかしEUの社会モデルは博物館入りしてはならない、と述べた。欧州自由党のグレアム・ワトソン議員団長はEU各国首脳に対して、EU政治を自国の利害だけで進めぬよう求めた。欧州緑の党のダーニエル・コーンベンディート議員団長は、EUの改革では社会保障や環境保護も重視されねばならないと述べた。

原題:Blair will EU aus der Krise fuhren




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